感謝の気持ちをこめて、---- 長いあとがき ---- 


ルビーは14日間の係留検査の後、
無事に輸入検疫を終えて、我が家にやって来ました。
とても元気で、もう少しの間、個室で過ごさせ、
落ち着いたら、他の猫達と対面させようと思っています。
すぐに、という訳にはいかないでしょうが、陽気な彼女の事です、
じきに先住猫達ともうまくやっていくよう、慣れてくれるでしょう。
そのうちに、わが家の男の子達と良いペアになってくれるだろうと思うと、
今からとても楽しみです。

係留中はこれといった問題もなく、
ルビーは飼育管理会社のスタッフの方々に、
とても細やかにお世話してもらったようで、
心身共にとても健全です。

正直言って、はじめは自宅係留という言葉がとても魅力的で、
私は何とかして、そう出来ないものかと、ひとりよがりに色々考えました。
誰だって、自分の猫は可愛いものです。
家族の一員、もしくはこれから家族の一員として迎えようとする、大切な子です。
少しでも早く手元に置きたいと思うのは当然でしょう。

世の中には、ショーキャットと言われる猫達がいます。
純血種の猫として、キャットショーで、
そのレベルの高さ、美しさを競い合うような猫達です。
また、そういった高品質(?)のショーキャットを産むであろうレベルの、
ブリードタイプと呼ばれる猫達もいます。
そういった猫達は、日頃からしっかりと健康管理がなされ、
ショーで勝ち抜くために、念入りな皮毛の手入れが、施されています。
ルビーも実はブリーダーから、ショータイプ、ブリードタイプとして、
我が家に譲ってもらった猫なのです。
けれども、そんなショーキャットだという思い入れから、
自分の猫は特別だという奢った考えを持ち、
書類をでっち上げてでも、自宅係留で済ませようとか、
特別な裏ルート(そんなものがあるとは思えませんが)を使って、
係留検査を免れようとするのは、
何かおかしいと、思い始めました。

純血種であろうが、なかろうが、一つの命の重さには変わりはなく、
どんな猫も、飼い主にとっては、かけがえのない存在です。
自分の猫だけが特別な猫で、係留を免れて当然と思うのは、
間違っていると思います。
本来、狂犬病が撲滅された日本に、
再度この病気のウイルスを持ち込まないがための制度です。
猫全体の福祉ということを考えると、
自分の猫だけが係留を免れることを考えるのではなく、
正しく係留検査を受けさせて、もし不満に思うことや、不備だと思うことがあったら、
改善して欲しいと、検疫所に対して要求する事の方が、
大切ではないかと私たちは考えました。

普通の健康な猫が、特に、ショーキャットに関して言うなら、
健康であることが、その第一条件であるような猫達が、
たかだか14日間の係留で、弱って決定的なダメージを受けてしまうような、
ひどい扱いを受けるとは考えにくいのではないでしょうか。
いわゆる「動管法」が、「動物愛護法」と改正され、
ますます、動物愛護が叫ばれるようになった現在に至って、
しかも国の機関において、そういう劣悪な事が起ころうとは、
考えられませんし、また起こってはならないことです。
利己的なごり押しをするのではなくて、
正面からきちんと係留検査を受けさせようと、
私たちは考えるようになりました。
そこには、検疫所の方々が、
私たちのズケズケとした問い合わせにも、
ひとつひとつ丁寧に応答して下さった事、
そしてその内容も、納得がいくものであったことも、
その考えに至った理由の一つとして、あげられます。

そして、予想した以上に、単に清潔というだけでなく、
愛情のこもった細やかな管理の下で、
ルビーは係留期間を過ごすことが出来ました。
途中、係留施設へ面会にも行きましたが、
彼女は決しておどおどすることもなく、
初めて入る面会室の中では、用心深く振る舞ってはいましたが、
人に対しては、とてもリラックスして、
ゴロゴロ、スリスリ、甘えて接してくれました。

これなら、今までより余分に費用はかかるようになりますが、
猫連れで、インターナショナルキャットショーに参加することも可能だと思いました。
遊び盛りの子猫で寂しがることが心配なら、兄弟で一緒にといった形で、
係留してもらえれば、それ程寂しくもないでしょう。

この処遇の良さは、或いは成田の天浪係留所に限った事かもしれません。
こういった事は、委託された会社によって、変わってくる可能性もあるでしょう。
でも、少なくとも、私たちは今、色々と教えて下さった検疫所の方々や、
細やかな心配りをしながら、ルビーをお世話下さった飼育管理会社である、
エーキューエスのスタッフの方々に、とても感謝しています。
いつの日か、ルビーが産んでくれた子猫が、
インターナショナルキャットショーに参加して、
その帰りにまたお世話になるかも知れません。
どうぞ、その時にも、宜しくお願い致します。

そして最後に、この日記をお読み下さり応援して下さった皆様、
本当にありがとうございました。

     おしまい


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