私たち(新本,妻,夫)とバンタローが成田空港のターミナルに着いたのが,飛行機出発の4時間前.UAのカウンターは人もおらず,どうしたものかと考え,まずは動物検疫というのを受けましょう,と場所を探しました.荷物をごろごろ全部カートにつけたまま,バンタローを連れて,ターミナル2階の狭い通路を進みました.動物検疫担当官は農水省の職員で,東北農試の近くに勤めていた,と言っていました.簡単な健康診断と,診断書の作成をしてもらいました.旧式のタイプライターでぱちぱちと診断書を打つのにはちょっと驚きました.途中,アビシニアンを持ったYさんがやってきました.彼女も同じ飛行機で出発するらしい.
検疫を終え,UAの手続きが始まるまでの間,旅行傷害保険に入っておきました.UAのカウンターが動き始めたので,エコノミーに並び,ケンネルキャブのLに入れたバンタローの出国手続きをしました.LIVE ANIMALSのシールを貼られ,色々なタグを付けられたキャリーケースのなかのバンタローはターミナルの外の小型トラックに乗せられて行きました.最終目的地のカンサスシティーまで猫は2万2千円でした.この時の地上係員のミスが,帰りに思わぬ事件を起こすことになるとは,そのときの私たちは思いもよりませんでした.
飛行機は成田を飛び立ち,機内で上映されたディープインパクトと米国版ゴジラを楽しんでうつらうつらしていたら,シカゴ,オヘア空港に到着しました.ディープインパクトには,テレビシリーズERで見た顔が何人か出ていました.
前回アメリカに観光旅行で入国した時には,ビザなし入国では,帰りの航空券を見せる必要があったのですが,今回は見せなくてもいいようでした.手荷物を受け取って,猫はどうなったかと妻が係員に聞くと,向こうだと言われ案内してくれました.キャリーの中で「いったいどこへ連れて来たんや」という顔をして座り込んでいるバンタローの再会しました.猫を受け取って税関を通ろうとすると,パブリックヘルスのところでチェックが必要だと言われました.猫を見せて税関書類にはんこをもらいました.通関してバンタローに水と餌をやり,再び国内線に預けてから国内線のターミナルに向かいました.Yさんは私たちより後の便で遅く到着するそうで,シカゴで6時間待ちでした.私たちは3時間待ち.猫を乗せられない(飛行機が猫でいっぱいだ)と言っていましたが,実際には猫は3匹(機内持ち込みの2匹を含めて)しかいなかったようでしたが…?
カンサスシティー行きのゲートでは猫を連れた人,アメリカの猫雑誌の編集者などがいましたが,それほど猫だらけ,というわけではありませんでした.1時間半のフライトでカンサス市国際空港に到着しました.荷物を受け取り,猫を待っていましたが,なかなか来ません.手荷物係員に聞いたら,むこうの57番のところで渡す,という.で,そこで待っていたのですが,それでもなかなか来ない.しびれを切らした頃に,バンタローが運ばれてきました.みんな早口でしゃべるので,なかなか聞き取れません.ふんふん,とわかったふりをしていると,話がどんどん進んでしまいます.
到着ロビーのタクシー専用電話でタクシーを呼びました.電話の向こうでは「どこのマリオットだ」と尋ねているようです.マリオットホテルがいくつかあるらしい.「ダウンタウンだ」と告げました.すぐにタクシーがやってきました.ダウンタウンは一方通行が多い.ちょっとややこしい.30分ほどでダウンタウンのマリオットホテルに無事到着.猫がたくさんやってきていました.チェックインの際にクレジットカードを提示すると,猫のデポジットは取られませんでした.お部屋は別館のほうで,とても広い部屋でした.本館の3階にリターボックスと砂が置いてありました.Yさんのために一式取っておいてあげました.彼女は遅く到着して,私たちの部屋にリターボックスを取りにきました.砂がもうなくなっていたらしい.
バンタローをテントに入れ,荷物をほどいてからロビーに部屋のミニバーのキーをもらいに行くと,同じクラブのMさんを団長とする5人が到着したところでした.これでJSCCの7人が揃いました.1階のLilly'sレストランでみんなで早めの夕食を取り,明朝に備えます.バンタローは,旅の疲れもなく,餌をばりばり食べました.
カンサスシティーは,ミズーリ州の州都ですが,隣のカンサス州と接していて,カンサス州のカンサスとまるでひとつの町のようです.どうしてこのような複雑なことになっているのかわかりませんが,なんだか冷戦時代のベルリンを思い出させます.