ヒメダルマの猫たちのHCM 検査結果

1999年に私たちがハナコとアーノルドにHCMの検査を受けさせて、あれから長い時が過ぎました。 その間に、メインクーンにおけるHCMについての知識は広まり、多くのメインクーンのブリードを手がけていらっしゃる方々にとっては、 それは常識的な、知っておくべき知識となっていると思います。今ではインターネットでメインクーンのサイトをみると、特に欧米のキャッテリーでは、当然のように、それぞれのキャッテリーの猫たちがHCMの検査を受け、ネガティブであることを公表しています。

けれど、日本においては、知識の広がりとはうらはらに、みなさん問題意識を持ちながらも、多くの方々が検査を受けさせるに至っていないと言うのが現状でしょう。かくいう私も、優性遺伝病であると言うことで、アーノルドとハナコがネガティブなのだからと、、その息子のバンタローは論理的には、ネガティブだろうし、その後我が家に迎え入れた猫たちの多くは、親元のキャッテリーで、その親猫たちがネガティブと診断されているから、まずは安心だろうと、ラインでその可能性を潰していく考え方をとることで、検査を受けさせてはいませんでした。

HCMは、経験ある獣医により、超音波検査で心筋の厚さを調べればいい、簡単な検査と言うことになっています。けれど、日本では、それをやってくれる獣医さんが殆どいないと言うのが現状です。アーノルドやハナコの時の様に、遠くの大学の獣医学科の動物病院に行かなければ、まずその検査はやってもらえないし、費用も一頭につき2万円はかかってしまいます。大学病院では、超音波検査だけでは済まず、レントゲンに始まり、血液検査といった検査のフルコースを受ける事が求められるからです。恐らく、健康診断的な発想ではなく、治療を目的とした検査のコースなのでしょう。大学病院は本来高度な医療を受けるために存在する訳ですから、当然のことなのでしょう。その事を批判するつもりは全くありません。もし、自分の猫たちの中に心筋症の疑いが出れば、こういった精密検査を受けさせる事に、私は迷いはないでしょう。

健全な育種ということを思えば、ブリーダーとしては、お金ではない、という部分はあります。が、しかし、健康診断的なものに、2万円というのは現実的には、そうそうお気軽に受けられる検査ではありません。そろそろ、また検査を受けさせなければと言う思いは、私たちの頭の中に常にありましたが、大学病院が遠い、平日しか看てもらえないので、休みを取って行かなければならない、ということで、なかなか実行に移せずにいました。

2004年初夏に引っ越しをしました。それに伴って、新しい獣医さんとの出会いがありました。心臓の検査のことを話題にしてみると、知り合いに心臓の超音波診断を得意とする獣医さんがいるから、紹介してあげましょうか、と言って下さいました。そもそも、そう言った検査は、普通の超音波の装置では難しく、高価な高機能機種を使うのだそうです。だから、診断経験の有無というだけでなく、普通の獣医さんの装置では、なかなかそういった検査は出来ないのだそうです。超音波装置があるのに、言葉を濁して、検査をしてくれない獣医さんの事情というものを、初めて納得がいく形で説明してもらえて、とてもスッキリした気持でした。

良い情報を得たと、さっそくその獣医さんを紹介して頂く事にしました。打ち合わせの電話の段階で、こちらの検査趣旨を伝えたところ、単なる超音波での心臓の検査だけだったら、一頭あたり2000円という事でした。今回、レントゲン検査をお願いしなかった事が、ちょっと気になったので、親元のブリーダーにメールで、アメリカでの検査の様子を聞いてみると、「HCM検査でレントゲンを撮ったことないよ。レントゲンでは分からないもの。超音波だけだよ。」と返事が来ました。それを聞いて、ちょっと安心しました。超音波検査の2000円だけで良いのなら、毎年だって、お気軽に受けられる金額です。こんな嬉しい事はないし、実際そんな風でなければ、毎年の検査というのは、無理でしょう。

検査当日は、私も猫たちのご機嫌を取りながら、立ち会い、獣医さんと一緒に画像を見ながら、色々お話しました。「超音波検査と言うのは、なかなか好きな人でないと見れないですね。」とおっしゃっていました。装置に関して質問すると、「大学病院に比べれば、落ちる機種ですが、それでも、そこそこのところまではみえますし、血流の方向も簡単にではありますが、表示(カラードップラーというものかな?)してくれます。」ということで、個々の猫の心臓の超音波画像と、心筋の厚さをプリントアウトしたものを、下さいました。

以下に順次、検査結果を示します。

私たちが検査でお世話になっている獣医さんのサイトはこちら>>


HCM Test Oct.15. 2006

しばらく間があいてしまいましたが、秋になって気候も良くなったので、お友だちにも手伝ってもらって、みなでゾロゾロ、超音波検査を受けに行きました。


出発前に皆で勢揃いしたところ、なんだか可笑しくて、思いついて記念写真をパチリ!

かんじ先生のところの超音波診断の機械が新しくなっていました。素人ながら、心臓の弁が跳ね橋みたいに動いているところがよく見えて、面白かったです。
Bulldozer は今回は血液の逆流は見られなかったそうです。シャイニンは肥大型心筋症の兆候はないそうですが、逆に心筋が薄くなってきており、その他の症状も総合して、拡張型心筋症の疑いがあるそうです。本猫は一見とても元気なんのですが。。。猫での拡張型心筋症というのは、とても珍しく、先生も経験がないそうです。先生との相談の結果、一度、大学病院の先生に見てもらう事にしました。スターは心筋が前回より厚くなっており(4.6mm)、正常範囲ではあるけれど、要経過観察となりました。
他の子たちは、現在のところ問題なしということでした。みんな先生に看てもらえて良かったね。

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今年になって、ミオシン結合蛋白Cの遺伝子変異に関して、遺伝子検査が受けられるようになりました。スワッブ(頬粘膜をぬぐい取ったサンプル)をワシントン州立大学に郵送することで、この遺伝子の特定の箇所にある遺伝子変異の有無を調べてもらうことが出来ます。当初、この遺伝子検査を受けることで、メインクーンのHCMの問題は一挙に解決するかのように期待されました。けれど、あまりに多くの猫がポジティブと診断されてしまうこと、また、私の個人的意見ですが、優性遺伝病の遺伝子検査と言うには、検査の結果と臨床症状があまりにも一致しないということ、さらには、この検査でネガティブと出ても、HCMを発症する猫がいること、(それは、HCMを起こす遺伝子変異は一つではないと説明されていますし、それは、ごもっとも解釈ではありますが。)、等を考え合わせ、私たちは、今後も、猫たちの超音波検査を続けて行こうと思っております。

HCM Test Mar.20. 2005

前回の検査より、約3ヶ月が経ちました。今回は、前回やや気になる点があった2頭について、再検査をお願いしました。

  • HIMEDARUMA STAR BULLDOZER (3y1m:Male)---4.1mm
    前回と同様、不整脈が見られ、右心房、右心室間の弁の動き、血流にやや異常がみられました。心筋の厚さは前回と同じでした。 HCMというより、何か他の、先天的な理由があって、不整脈が生じているのだろうと言うことですが、本猫は至って元気で、他には何も問題ないことから、原因を特定するほどの必然性はないだろうと判断し、要経過観察と言うことで、今後も定期的に検査を受けさせるつもりです。

  • RUMFORD SHININGSTAR of HIMEDARUMA(6y8m:Female)---4.1mm
    やはり前回と同様、心雑音を指摘されました。心筋の厚さは、前回より薄くなっており(測定誤差?)、心筋の厚さそのものには何の問題もなく、今の所HCMの徴候はないと診断されました。今後も要経過観察と言うことで、定期的に検査を受けさせるつもりです。



HCM Test Dec. 17.2004

  • HIMEDARUMA'S BAMTARO (7y7m:Male)---4.5mm
  • VELVETJEWELS GOLD-TY of HIMEDARUMA(3y2m:Male)---3.9mm
  • HIMEDARUMA STAR BULLDOZER (2y10m:Male)---4.1mm

  • RUMFORD SHININGSTAR of HIMEDARUMA(6y5m:Female)---4.9mm
  • RUMFORD STARDUST of HIMEDARUMA(6y5m:Female)---4.1mm
  • VELVETJEWELS RUBY(6y3m:Female)---4.3mm
  • HIMEDARUMA ANDRONEDA(2y3m:Female)---4.5mm
  • DYAMICATS THE LAST DIVA(1y11m:Female)---3.7mm

*現在のところ、調べた猫たちの心筋の厚さは、正常範囲内でした。

RUMFORD SHININGSTAR of HIMEDARUMA は、心雑音が感じられ、
HIMEDARUMA STAR BULLDOZERに関しては、やや右心房が大きいようなので、
念のため、約3ヶ月後に、再検査することとなりました。