ディーバの検疫日記


2003年6月に我が家に新しい猫がやってきました。ディーバ。オランダから来たメインクーンの女の子です。私たちが貨物として運ばれてくる猫を輸入するのは2回目です。

前回のルビーの時は,はじめてだったこともあり,戸惑うことばかりでした。その様子は私たちのWebサイトにルビーちゃんの検疫日記として掲載されています。

ディーバの輸入にあたっては,少し変更になった手続きも含めて,輸入準備から我が家にディーバが到着するまでを簡単に紹介してみましょう。

1.検疫制度:2000年から猫にも検疫制度が適応されるようになりました。狂犬病が日本に侵入するのを防ぐのが目的です。汚染地域から輸入される猫については,狂犬病ワクチン接種が適切に行われてその有効期間であり,ワクチン接種の証明書があり,輸出政府機関発行の健康証明書が揃っている場合には,検疫のための係留期間は最短の14日間になります。今回輸入したオランダもこの規制を受ける国です。

2.予防接種:まずディーバのブリーダーに狂犬病ワクチンの接種と証明書類を依頼しました。日本に到着した時に,ワクチン接種後30日以上1年未満でなくてはなりません。健康証明書については,獣医師が発行したものに政府機関のエンドーズメント(裏書きと訳される)が必要です。ディーバの場合は,獣医が発行するディーバの健康手帳(animal passport)があり,ここにすべてのワクチン接種記録と健康診断結果が記載されており,オランダ政府機関の獣医師によるエンドーズメントが付されていました。

3.到着日の指定:輸入の40〜70日前までに猫が到着する空港の動物検疫所にその旨申請しなくてはなりません。ディーバは当初申請したフライトを取りやめ,1週間後の金曜日に到着することになりました。検疫所には変更の電話をして変更手続きはでOKでした。ついでに,税関にも猫の輸入を予告しておきました。税関で必要な書類は売店で販売されている事,臨時開庁費用が前回の半額になったことを知りました。

4.場所:成田空港第2ターミナル近くの貨物地区ですべては行われます。合同庁舎の動物検疫所と税関,IACT(IACT 国際空港上屋株式会社)と呼ばれる上屋(うわや:貨物を荷さばきするための場所で,短期保管される場所を指す)を行ったり来たりすることになります。

5.流れ:まず貨物地区合同庁舎の動物検疫所に猫が来る旨の挨拶に行きました。動物が来たら連絡してね,と獣医の職員の方に言われました。さて,猫はどこにやってくるのか。税関用の書類を買いに貨物地区外のガソリンスタンド横の建物の売店に。運送のための申告書類が3部必要。通関のための書類は,20万円以下の物品には不要です。KLMの輸送の代行をしているNCAに行って猫が到着するのを待ちます。猫が到着,AirWaybill(航空貨物運送状)などの書類をもらいました。猫はIACTに運搬されます。IACTから動物検疫所までは業者が運搬(私たちは運べない)。獣医の診断を受けて猫は再びIACTに戻ります。担当官はワクチン記録,健康診断書等の書類の点検を行い,14日間の係留検疫が確定。動物検疫所からの指示書が発行されました。これを持って税関へ。税関3階の特別通関部の生鮮緊急の部門で書類を書きます。猫の値段と輸送費がわかる書類を出して税額が算出され,5階で納税。3階に戻って保税運送申告書を完成させて晴れて税関から猫を天浪の係留施設に送ってよろしい,という許可。動物検疫所に戻ってエーキューエスと飼養契約を結び,AirWaybillのコピーや必要書類をわたしてエーキューエス社員と一緒にIACTへ。IACTでIACTと動物検疫所間の輸送手数料を払って,猫は天浪の係留施設へ運ばれて行きました。

6.面会:飼育管理会社から電話でディーバの様子について連絡があり,また,個室での様子の写真が送られてきました。週末には天浪までディーバに会いに行きました。以前のような厳重さは薄れ,エーキューエスとの管理委託引受書があればOK。猫の検疫がはじまった当初は色々な手続きと書類が煩雑でしたが,次第に簡素化されてきているようです。ディーバ,いい子でごろごろ。

7.引き取り:まず動物検疫所で,狂犬病予防法に基づく動物の輸入検疫証明書をもらいました。これで検疫終了。これを持って税関へ行き,AirWaybillに[許可]の判子をもらえば,通関,検疫の手続きは終了。ただし,この日は土曜日だったので,税関に手続きをしてもらうためには,[臨時開庁申請書]を提出しなくてはなりません。臨時開庁の手数料は3,900円。3年前のルビーの時の半額になりました。

8.まとめ:面倒なのは税関。動物検疫はそれほど面倒ではありません。(1)動物検疫所で検疫係留のための[指示・命令書]をもらう。(2)税関で[指示・命令書]に[輸入申告済・許可保留]の印鑑,[外国貨物運送申告書]により,検疫のため係留施設へ運搬する許可をもらう。(3)飼育管理会社と契約して猫は係留施設へ。(4)係留終了したら,動物検疫所から[輸入検疫証明書]をもらう。(5)税関からAirWaybillに[許可]の印鑑をもらって終了。


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