さよならカンサス

タクシーの予約
 現地時間、木曜日の午後に到着し、あっという間に4日間が過ぎました。5日目、月曜の早朝にはもうカンサスを離れ、猫達を連れてアメリカを出国、来た道を逆にたどり、シガゴ経由で成田空港へと帰国の途に着くことになりました。またまた、猫達を連れてでは、4人がシカゴまで、同じ飛行機には乗れないので、カンサスーシカゴ間は、2グループに分かれての搭乗です。

 MちゃんS妻組の飛行機は、なんと早朝6時出発、それも猫のチェックインと出国手続きをしなければなりません。少なくとも午前4時半には空港に到着したい。そんな早朝にタクシーは来てくれるのでしょうか。そこはそれ、用意の良いS妻の事です(自分で言うかなぁ、、、)、土曜日の昼間、ホテルのフロントが空いている時を見計らって、タクシー事情の下調べです。 事情を話すと、フロントのかっこいいブラックアメリカンのお姉さんが早速タクシー会社に電話をかけて、予約をしてくれました。ホテルのチェックアウトも24時間フロントには誰かがいるから、いつでも良いそうです。結局タクシー会社の名前と電話番号、予約日時を書いたメモ書きして渡してくれました。さらには、日曜日の夕刻、ショーが終わってホテルの部屋に戻ってみると、部屋の留守番電話にメッセージが入っていました。フロントに出向くと、正式なタクシー会社の予約メモが届いていて、再度日時と、車種まで指定してありました。(確か車種はセダンとなっていたような。)

リムジンで帰国の途に、、、
 月曜日の早朝(?)午前4時頃に荷物や猫達を持ってフロントに下りていきました。チェックアウトを済ませ、少し外の様子を見て、まだタクシーが来ていないことを確かめました。ホテルのロビーはさすがに閑散としています。ソファーで大柄なおじさんが一人、新聞を広げていました。そのおじさんが、S妻とMちゃんの様子をチラチラと見て、近づいて来ます。タクシーに乗るのかい?と訪ねられ、予約しているから待っているんだよ、と返事をしました。おおそうかい、とおじさんは、一旦引き下がりましたが、またやってきます。そうそう、予約してたのは俺の車だよ。ほらあそこにあるだろうと、外に出て指さすのです。確かに、ホテルの正面からはずれた横の方にタクシーが一台泊まっていました。なんか違うな、と言う気もしましたが、タクシー自体は本物だったので、そうか私も勘違い、英語の聞き違いで、このおじさんは予約した私達を探していたのかしら、とS妻は思い直し、Mちゃんと一緒におじさんについて、タクシーへと向かいました。

 ちょうど3人がホテルのドアを出るところで、慌てた様子の、すらりとしたお兄さんが、手にメモ用紙を持ってホテルに入ってきました。私達に声をかけ、S妻のファミリーネームを言います。そうです。このお兄さんが予約していたタクシー会社の人でした。やれやれ、危うく違うタクシーに乗ってしまい、申し訳ないことになるところでした。すらりとした運転手のお兄さんはくだんのおじさんとも、顔見知りらしく、やあやあ、と二人は声を掛け合い、別に気まずくなるわけでもなく、首を傾げる私達を後に、おじさんの方がすんなりと、身を引いてくれました。やれやれ、一瞬どうなるかと心配しましたが、良かった良かった。

 ホテルの外に出てみると、なんとホテルの正面に止まっていた車はセダンではなく、少し古めかしくはありますが、リムジンだったのです。これにはMちゃんもS妻もびっくり。タクシー代が高かったらどうしよう、キドキしながら乗り込みました。リムジンは後ろの席は向かい合わせになっていて、窓際に小さなサイドテーブルまで付いています。猫達のキャリーを前のシートに置いて、MちゃんとS妻は後ろの座席、進行方向にむかってゆったり足を伸ばして座りました。空港までのドライブは、実に優雅でした。古めかしいとはいえ、さすがにリムジンは違います。揺れが少なく、まるで滑るように広々とした道路を進んでゆきます。なんと優雅な気分でしょう。まるでおかかえ運転手のいるお金持ちになった気分です。しかもリムジンタクシーの料金は、高くはありませんでした。後の便でシカゴまで来たS夫、Yちゃんが払った普通のタクシー料金と同じでしたから、驚きです。本当に得をした気分、話を聞いてリムジンに乗り損ねたと後で悔しがることしきりの夫でありました。

カンサス空港出国
 空港での人間の出国手続きはとてもあっさりしたものでした。でも、猫の搭乗手続きはとても時間がかかりました。係りの女性はコンピュータから規則集を打ち出して、細かく規定にあっているか確認していきます。私達が知らなかった色々な細かい規定がありました。

 Mちゃんは一つのキャリーにアメリカンカールの子猫を2頭入れていました。フムフム6が月以内だから(だったと思います)2頭まで一つのキャリーに入れても良いのね、とぶつぶつ言いながら健康診断書の年齢と照らし合わせて、チェックしています。何かを迷ったのか、もう一人男の人を呼んできて、ぶつぶつ。日本から連れて来て連れ帰る子の出国時に作ってもらった動物検疫書類を見て、これは検疫書類で、健康診断書ではないと、文句を言います。でも、確かにこの書類が、飛行機に乗せるための健康診断書も兼ねているはずです。どう説明すれば納得して貰えるかと少し焦ったS妻でしたが、書類中に「この猫は健康です」と書かれた項目を見つけたので、ほらここを見てよと指さして示すと、それ以上言わなくても納得してくれました。

 結局規定をクリア出来なかったのはショー会場で買ったキャリーバッグでした。去年の経験から、UAでは4側面全部に空気穴が開いていなければならない事はわかっていました。だからショー会場でキャリーを買ったとき、お店の親切なおじさんにお願いして、ドリルで後ろの面に穴を開けてもらったのに、実はその面の60%以上に渡る範囲で空気穴が開いてないといけないという、規定があったのでした。ドリルで開けてもらった穴は、上半分くらいの所まででした。こんな事なら、お店のおじさんに、これでいいかい?と聞かれたとき、遠慮せずにもっとと言えば良かったと、後悔する事しきりのS妻でした。だって、誰もそこまできっちりとは教えてくれませんでした。残念です。今年も結局、UA専用のお高いキャリーバックをMちゃんは空港で買う羽目になったのでした。(去年は向こうの手違いということで、ただでもらったのでしたが、、)

早朝のシカゴ空港
 早朝のシカゴ空港は沢山の人でごった返していました。皆さんとても忙しそう、さすがビジネスの街シカゴですね。NちゃんS夫組が次の便で到着するまでの間、カフェテリアで朝食をとり、免税店を少し見て過ごしました。

 カフェテリアのあるコーナーには人の列が出来ていました。何と日本のお好み焼きコーナーの様に鉄板があって、そこで卵料理をしているのです。オムレツやサニーサイドアップ、スクランブルエッグ等、注文すると目の前でとても手早く焼いてくれます。鉄板の隅っこには、ハッシュドポテトが山のように盛り上げられています。MちゃんS妻はそのいい匂いつられて、オムレツとポテトと、コーヒーを注文しました。窓際に席を取り、空港に止まっているいろいろな航空会社の飛行機や、その間を忙しそうに荷物を運んでいる荷物運搬車を眺めながら、ゆったりと朝食を頂きました。オムレツとコーヒーの美味しかったことといったら、午前3時半ころに起き出し、今までばたばたしていたので、空いたお腹に、暖かいプレーンオムレツがしみ込んでいくようでした。

 そうこうするうちに、時間が来てNちゃんS夫組もシカゴ到着です。無事到着ロビーで全員集合となりました。

がら空き飛行機
 帰りのシカゴー成田間の飛行機はとても空いていました。こんな空いた飛行機は乗ったことがないと言うほどです。離陸前にフライトアテンダントから「今日はとても空いているので、ベルト着用サインが消えたら、お好きな所に座って良いです。」とアナウンスがあった程です。

 4人はバラバラに散りました。一人一列確保です。境の肘掛けをみんな上げて、長々と寝そべり、行きとは大違い、みんなぐーぐー寝入ってしまいました。そしてS妻が気が付いたのは、到着1時間程前。軽食が配られます。4人はまた誰が声をかけるでもなく、何となく最初の席近くにもどってきて、到着準備です。

みんな元気に成田到着
 そして飛行機は何事もなく成田空港の滑走路をすべり降り、ゲートへと到着しました。猫達もみんな元気で、広い空港の到着ロビーを検疫窓口へ向かいます。検疫を済ませ、ロビーを出て行くと、出発の時と同じようにFママの笑顔が待っていました。新しくやってきた猫達や、無事帰ってきた猫達を皆でのぞき込みながら、わいわいと無事の帰国を喜びあいました。行きは猫3頭でしたが、帰りは猫7頭での帰国となりました。Fママ、お迎えありがとう。猫達も人間達も、みんな元気に帰ってきました。 いつの日か、きっとFママも一緒にインターナショナルキャットショーに行きましょうね。

(おしまい)


S妻こと新本美智枝

S夫の注釈